婦人疾患治療の経験は全くない私でありましたが、ここ最近2例経験できることがありましたので、お話させていただきたいと思います。

1例は鍼灸の女学生であります。その彼女は腰部に手をあててしきりに腰を回しておりました。腰痛?と聞いたところ、生理痛のため腰が痛いとのこと。生理が始まるとその症状が出るのでありました。生理痛は瘀血でありますので、刺絡がよく軽減すると書いておりましたので、手の十二井穴を施し致しました。そして施術の終わり頃になったところで、彼女は胸がスーッとしてきて腰の痛みも取れてきたようですとの発言に、その即効性に私はびっくりしました。
2例目は当院の患者さんです。40歳代の主婦で頸肩腕症候群で来院された方です。鍼灸だけの治療でましにはなっているのですが4回目の治療にしてはもうひとつと感じましたので、5回目は同様の治療に足の十二井穴もしてみました。6回目の治療後の帰り際で仰ったことですが、生理痛が始まると決まって2〜3日寝込むのだが、今回の生理は、前回の治療から全然寝込むということもなく、むしろ15分の散歩もやっとであったものが1時間半も歩くことができるようになりました、と喜びの言葉でした。
生理による痛みの軽減対策を調べて見ますと、鎮痛剤の服用、ストレスを溜めない、体を冷やさない・暖める、というように、生理による『痛み』は致し方ないのでできるだけ我慢しよう、ということのようです。
 
生理による『痛み』は東洋医学からみると、瘀血が原因しており、血の滞りによる『不通』による痛みであります。この瘀血は鍼灸だけで解消させることは、私にとっては非常にむずかしく長らく悩んでいたのですが、誰でもできる刺絡療法を用いることで、他の瘀血が絡む症状もかなり改善できるだろうと、自信を深めた経験でした。