『膝の痛み』と『気血』

膝が痛くて病院で診てもらったが、膝は何ら異常はない、しかし内側が痛くて歩けない、という方はいらっしゃるかと思います。

膝関節の軟骨摩耗、骨棘化または靭帯損傷等の疾患がないからといって、膝関節痛はないかというとあり得るのです。現代医学は、疾患が見つからければ診断名も付けられませんので治療はできませんが、鍼灸では経絡の気血の詰まりによる痛みと考えますので、その詰まりを除去してその痛みを取ろうとする施術をいたします。

膝関節には、脾経、肝経、腎経、胃経、胆経、膀胱経の6系統の経絡が流れていますが、その中の一つでも気血の循環障害が発生すると、必ず膝関節痛が起きるとは言いませんが、様々な症状の一つとして起き得ます。

痛みの発生は、大まかにいって二通りあると思います。一つは器質的疾患によるもの(ここでは軟骨磨耗、骨棘化靭帯損傷等)、二つは経絡的な気血の循環障害によるものです。器質的なものが原因する痛みは、鍼灸でもある程度緩和することはできるのですが根本的解決とはならず、現代医学療法で解決しなければなりません。

二つ目ですが、病院の検査では異常なしなのに、膝が痛いというケースです。これは結構多いかと思われます。当院の新しい患者さんですが、当初は『肺腎陽虚証』で別の主訴で治療していたのですが、7診目で膝蓋骨全体が痛いという訴え。以前にも膝の内側(曲泉辺り)の違和感を述べていたのですが、今日は膝を曲げると膝全体がズ-ンと痛む、とのこと。曲泉の上下の経絡を調べてみると、大腿内側の肝経流注に圧痛三箇所ありました。脈を診てみると左関上が明らかに浮いていました。

圧痛三箇所を得気を得て、大体1㍉ぐらいのところまで鍼を引き上げ、無理のない膝の屈伸運動をしばらくしてもらいました。早々に効果がでてきたようで、休み休みの15分~20分ぐらいで痛い格好してもらっても痛くなくなりました。ご本人もびっくりなさっていました。

このように検査では異常はないのに、現実は痛い、という原因不明の症状は他にもいくらでもあると思います。その原因は経絡の『不通則痛』なのです。詰まっている処を通じさせてやれば、痛みはなくなります。